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第55話 伊織の決心

last update Last Updated: 2025-07-03 12:05:56

 時は少し遡って康介事件で千夜に飛ばされた後の事――。

 

 見えない力で弾き飛ばされた自分《わたし》。

 前回、体に入られたお義兄《にい》ちゃんを救えなかったこともかなり心に大きな傷を作った。

――情けないな。

 そんな心情を抱え込んで悩んでいた。でも情けないままでいいのかと自分を奮い立たせようとする。でもどうしたらいいのかわからない。今まで相対してきたモノ達は、自分がいるだけで無力になったり消えて行ったりしていた。

 でも今回目の前に現れたモノは違う。少しだけ力が弱まってるみたいだけど、今の自分とは力の差が違う。それははっきりとわかっている。何より今回違ったことが一つだけある。足がすくんで動けなくなった事。

 隣にいるお義兄ちゃんを手助けできなかったこと。それが悔しい。情けない。あの人はまた立ち向かって行くんだろう。その時自分はそのそばに立てているのか?

 考えれば考えるほど眠れなくなった私は、水を飲もうと降りてきた居間でまた考え込んでいた。

 コトッ

 ビクッ

 突然目の前に出されたコップに驚き体が震えた。

「ああ、ごめん驚いたか?」

 上げた顔の前には優しく微笑むお義兄ちゃんをの姿があった。

「あ、お義兄ちゃん……」

「どうした? 眠れないのか?」

「うん……」

 お義兄ちゃんには、今考えてる事は言えない。そんなことした知られてしまうから。

 だから困ってまた下を向いちゃった。

 こういう時、お義兄ちゃんはどうするの? どう考えてるの? そんな考えが頭に浮かんできて無意識にクチにしちゃってた。

「お義兄ちゃん……は、いつからそんなに強いの?」

「俺が……強い?」

 あれ、私何か知らない間に口から言ってる。

 お義兄ちゃんも困ってる顔してるし。でも、なぜかクチが止まってくれない。

「うん。小さい時か

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